三つの入り口を有する海食洞窟で洞内は広く、高さ40m、全長200m。古くは加賀神社が鎮座した神域となっていました。洞門は大神誕生の際に、母神が金の矢を射通して作ったと語り継がれる神話があり、ロマンを肌で感じられるパワースポットです。文豪小泉八雲は「これ以上美しい海の洞窟はない」と絶賛したと言われています。波のおだやかな日は観光遊覧船で探訪できます。島根町には、小泉八雲のを初め、志賀直哉 (大正三年来遊)、島崎藤村 (昭和二年来遊)、松本清張 (昭和五十一年来遊) などの 作家が訪れ、田辺聖子の小説「いま何時 ? 」では潜戸が舞台のひとつとなっています。出雲国風土記に「加賀の神埼、即ち窟 (ほこら) あり一十丈ばかり周り五百二歩ばかりあり。東西北に通れり。いわゆる「佐太大神 (さたのおおかみ)」の産生 (あれ) ました処なり」とあります。そうしたことから母神の「支佐加」比売命 (きさかひめのみこと)」の社が誕生岩の上に建てられていましたが、大波の時に流されてしまったため、加賀神社にお祀りし、現在は鳥居だけが残されています。西戸の入り口の天井から水の雫がぽとりぽとりと落ちていて「お乳の水」と呼ばれています。お産をして乳のでない女性がこの雫を受けると乳が出るようになると云われています
明治時代の文豪と称された小泉八雲は 1891 年 9 月、念願だった潜戸訪問を果たします。1894 年に出版された「知られぬ日本の面影」には、八雲が妻のセツとともに自宅から人力車と舟、徒歩で潜戸を訪れた際の道中の風景やそこに暮らす人々の印象が描かれています。
「これ以上に美しい海の洞窟はそう考えられるものではない。海は、この高い岬に洞穴を次々にえぐると、まるで偉大な建築家に似た手腕で、そこに肋骨状の骨を彫り、穹稜 (きゅうりょう) の股を刻み、その巨大な作品に磨きをかけた。入口の円天井は高きは水面上二十尺はあろう、また幅は十五尺はあろう。彼の舌はこの穹窿の天井や壁を何億回何兆回と舐めて、ついにこのような滑らかな岩肌を磨きあげたのだ。」
小泉八雲著〜知られぬ日本の面影〜より
住所 | 松江市島根町加賀 |
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営業日時・休日 | 潜戸遊覧船が運行しています(3月~11月要予約) |
お問い合わせ先 | 0852-55-5720/松江観光協会島根町支部 お問い合わせフォーム 0852-85-9111/加賀潜戸遊覧船 |
Webサイト | http://kukedo.com/ |
備考 | 3月〜11月運行する加賀潜戸遊覧船で体験することができます。 |